【読書】女王はかえらない–もやが開けた後の最悪な読後感
二子玉の駅ナカにある本屋さんでジャケ買い。
「このミステリーがすごい!大賞」受賞作なんだそうだ。
表紙の女の子が可愛い。
あらすじ(は面倒なのでamazonから引用したよ!)
片田舎の小学校に、東京から美しい転校生・エリカがやってきた。
エリカは、クラスの“女王"として君臨していたマキの座を脅かすようになり、
クラスメイトたちを巻き込んで、教室内で激しい権力闘争を引き起こす。
スクール・カーストのパワーバランスは崩れ、物語は背筋も凍る、驚愕の展開に――。
伏線が張り巡らされた、少女たちの残酷で切実な学園ミステリー。
ネタバレなし感想
桐島部活辞めるってよから始まり、スクールカーストとかママカーストとか何かと「カースト」系が話題だけど、
今回のテーマは小学校のスクールカースト。
小学校って言うスーパー狭いコミュニティの中でのカーストは、運動神経だったり見た目だったり声の大きさだったりのパッと見がすべて。
第一章ではイケイケ地元育ちのマキと都会の令嬢エリカの陰惨な女王争いが、「僕」の視点から語られる。
あ〜そうそう、そういうのあるよね〜と昔を思い出しながら、第一パートを読んだ。
・お揃いのグッズ(ヘアピンとバレッタ)
・お誕生日会(呼ばれる?)
・親の年齢(若くて綺麗なお母さんは人気)
・親の職業(でも水商売はちょっと)
特に親の年齢のくだりは小学生ならではのマウンティングでリアル。やっぱり授業参観とかで奇麗な若いお母さんが来ると話題になったりしたもんなー。
私の両親は晩婚で、友人の母親より結構年上だったから、自分の母親の年齢を言うときとかちょっと恥ずかしかった。中学校に上がって全く思わなくなったけど。
都会出身のエリカの母親が「おばあちゃん」みたいで、地元っこのマキの母親が「ヤンママ」なのは上手いなーと思った。
あとでエリカが自分の母親に辛く当たるところなんかは心が痛んだよ…。
一筋縄ではいかないトリックがこれでもかとちりばめられていて面白い。
ミステリー好きならピンときそうな叙述トリックも、二章・三章読むうちにそうくるかーって感じで驚かされる。
第一章は子供の目線、第二章は大人の目線から語られるんだけど、第一章は舞台がほぼ小学校の教室なのに対して、第二章は小学校以外にも自分の家だったり外だったりと舞台が多岐にわたる。登場人物も第一章は生徒がメインだけど、第二章は私・夫・先生・刑事さんなど登場人物が増える。子供と大人の行動範囲の差の違いがわかるし、如何に子供が狭い範囲で生きているかが伺える。この目線の切り替えが上手いな、と思った。
まあ、ただ後味は悪いよね…。人にお勧めするかと言われたら、しないかな…。
注意!ネタバレあり感想
登場人物の名前がカタカナな時点で、「ははーん、イニシエーションラブ的なパターンだな、私の目はだまされないぞ」と思ったものの、
二章で「あれ?違う?え?」と疑問符が付き、三章で「え?…あ、そうだよね!…って、え!?あっそういうこと!」と何重にもはりめぐらされたトリックに気づき驚愕したのでした。
時系列のトリック
第一章「僕」と第二章「私」が同一時系列だと思わせるトリック。僕=生徒、私=先生だと思って読んだので、
先生に子供殺しの罪がなすり付けられるんじゃないかとヒヤヒヤしながら読んだ。
実は「僕」=「私」で、第一章は「私」の小学生時代の頃の話だったのだ。
名前のトリック
エリカもマキもメグもあだ名。全員名字から取ったあだ名で、それぞれ襟川、牧田、恵。オッサンは大崎。
恵が名字だと分かったとき、ホンジャマカの恵俊彰のことを思い出した。ホンジャマカとしての活動って今やってるのかな…。
性別のトリック
メグは男の子で、オッサンは女の子。
正直オッサンで女の子はちょっと無理あるんじゃないかと思った。女の子にオッサンってかわいそすぎるよ…。
僕っ娘というのもこじつけ感あって好きじゃないけど、小学校時代僕っ娘は確かにいっぱいいた。
クラスに2、3人はいた。私も一時やってたけど、親に「さすがに変だからやめたほうがいいよ」と言われてやめた。感謝している。